副業の確定申告で作成する申告書はどれになる?

副業を始めた後に多くの方が悩みやすいのが、「自分は確定申告が必要なのか」「必要だとしたら、どの申告書を作成するのか」という点です。
副業の収入が増えるほど、申告書の種類や添付書類、経費の整理方法が気になり、判断を先送りにしてしまうケースもあると思われます。

一方で、必要な書類の全体像が分かれば、準備は段階的に進められます。
本業が会社員の山田さんでも、週末だけアルバイトをしている佐藤さんでも、副業の形が違えば作成する申告書も変わります。
この記事では、「確定申告 副業 作成する申告書」というテーマに沿って、所得区分ごとに作成すべき書類を整理し、スマホやe-Taxでの作成手順、迷いやすい論点(20万円基準、雑所得と事業所得、経費按分など)まで、客観的に解説します。

副業の申告で作成する申告書は「確定申告書B」が軸になります

副業がある場合に作成する申告書は、原則として確定申告書Bが中心になります。
そのうえで、副業が「給与」なのか、「事業所得(または雑所得)」なのかによって、追加で作成する書類が変わります。

整理すると、次の考え方が分かりやすいです。
「申告書本体(確定申告書B)+副業の種類に応じた計算書類」という構造です。

副業が給与(Wワーク)の場合

本業も副業も給与所得であれば、作成の中心は確定申告書Bです。
副業分については「収支内訳書」や「青色申告決算書」は通常不要です。

副業が事業所得・雑所得(フリーランス、せどり、アフィリエイト等)の場合

確定申告書Bに加えて、白色申告なら「収支内訳書」、青色申告なら「青色申告決算書」を作成することになります。
さらに、帳簿や領収書、入金記録などの根拠資料の整備が重要になります。

副業が雑所得(シェアリングエコノミーや不定期収入等)の場合

確定申告書Bの「雑所得」欄に記載します。
提出書類としての「決算書」は通常ありませんが、国税庁の案内で紹介される「雑所得の計算表」相当の整理資料を作っておくと、入力と説明がしやすくなります。

申告書の種類が分かれる理由は「所得区分」と「申告制度」の違いです

まず押さえるべきは「所得=収入−経費」という考え方です

副業の申告でよくある誤解として、「20万円を超えたら申告」という言葉が、売上(収入)20万円だと捉えられてしまう点が挙げられます。
給与所得者(年末調整済みの会社員の方など)の場合、一般に知られている基準は副業の「所得」(収入−必要経費)が20万円を超えるかどうかです。

ただし、20万円以下であっても、状況によっては申告が必要になる可能性があります。
たとえば、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税等)で確定申告をする場合、結果的に副業分も含めて申告書を作成することになります。
また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があるとされています。

副業の形で「給与・事業・雑」に分かれます

作成する申告書が分かれる最大の理由は、税法上の所得区分が異なるためです。
副業という言葉は便利ですが、税務上は中身が大きく異なります。

給与所得(Wワーク)

アルバイト、パート、派遣など、雇用契約に基づいて給与を受け取る働き方は、給与所得に該当します。
この場合は、勤務先ごとの源泉徴収票を合算して確定申告書Bに反映します。

事業所得(継続性・独立性が強い副業のイメージ)

フリーランス業務(ライター、デザイナー、動画編集、コンサル等)や物販が継続的に行われ、事業としての実態がある場合、事業所得として整理されることがあります。
ただし、事業所得か雑所得かは個別事情で判断されるため、断定は避け、必要に応じて税理士さん等へ確認するのが安全と考えられます。

雑所得(副業的、スポット的、その他の所得)

シェアリングエコノミー収入、不定期の原稿料・講演料などは、雑所得として扱われることが多いとされています。
国税庁も副業に係る雑所得の整理方法について案内を公表しています。

「白色申告」と「青色申告」で作成書類が変わります

副業が事業所得に該当する場合、白色申告か青色申告かで、作成する書類と手間、そして税務上のメリットが変わります。

白色申告は、主に「収支内訳書」を作成して所得を計算します。
青色申告は、「青色申告決算書」を作成します。青色申告特別控除(65万円、55万円、10万円等)は、帳簿の付け方や電子申告の要件など、条件がある点に注意が必要です。

副業の種類別に「作成する申告書」を具体的に整理します

共通で準備しやすいもの(副業の種類を問わず)

まずは全員が揃えやすいものから整理すると、作業が進めやすくなります。
「入力に必要なもの」と「控除の証明」を先に集めることが実務上の近道です。

  • 本業の源泉徴収票(会社員の方の場合)
  • マイナンバーが分かる書類(マイナンバーカード等)
  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 生命保険料控除証明書、寄附金受領証明書など、各種控除証明
  • 還付がある場合の振込先口座情報

なお、源泉徴収票は、制度上「添付不要」とされる運用が一般化していますが、申告書作成時に正確な数字を入力するため、手元に必要です。
紛失した場合は勤務先に再発行を依頼することになります。

副業が給与所得のときに作成する申告書

副業が別の勤務先からの給与である場合、作成の中心は次のとおりです。

  • 確定申告書B
  • 本業・副業の源泉徴収票(すべて)の情報を申告書へ反映

このケースでは、事業の売上や経費をまとめる書類(収支内訳書・青色申告決算書)は通常作成しません。
ただし、医療費控除など別の控除を使う場合は、その明細作成が追加されます。

副業が事業所得(白色)のときに作成する申告書

継続して副業を行い、売上と経費を管理している方で、青色申告の承認を受けていない場合は、白色申告として整理されることがあります。
作成する主な書類は次のとおりです。

  • 確定申告書B
  • 収支内訳書(一般用)

収支内訳書には、1月1日から12月31日までの副業収入と必要経費を集計して記載します。
領収書・レシート・請求書・入金履歴(銀行明細、決済サービスの入金明細等)を根拠として、説明できる形に整えておくことが大切です。

副業が事業所得(青色)のときに作成する申告書

青色申告を行う場合は、事前に青色申告承認申請書を提出し、承認を受けていることが前提になります。
作成する主な書類は次のとおりです。

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 帳簿(複式簿記等、控除額に応じた要件を満たすもの)

青色申告特別控除65万円の適用には、電子申告(e-Tax)等が要件となるとされています。
要件は制度改正の影響を受ける可能性があるため、申告年分の国税庁の案内で確認するのが適切です。

副業が雑所得のときに作成する申告書

副業が雑所得として整理される場合、作成書類はシンプルになりやすいです。
ただし、経費計上や按分の説明が必要になる点は同様です。

  • 確定申告書B(雑所得欄に入力)
  • 雑所得の「収入−必要経費」を整理した計算表(内部資料として推奨)
  • 領収書、レシート、利用明細など根拠資料

国税庁はスマホでの確定申告(副業編)などで、雑所得の計算表の考え方や入力の流れを示しています。
スマホ中心で進めたい方は、公式の導線に沿って入力すると迷いにくいと思われます。

申告書作成でつまずきやすい論点と、現実的な対処法

「所得20万円」の判定は経費を引いた後の数字です

副業収入が20万円を超えたから申告、という理解は誤りになりやすいです。
正確には、必要経費を差し引いた「所得」が基準になります。
たとえば副業売上が30万円でも、必要経費が15万円なら所得は15万円であり、所得税の確定申告は不要になる可能性があります。

ただし、住民税は別途申告が必要になる場合があるとされます。
また、確定申告で還付が見込める場合(控除の追加など)は、20万円以下でも申告したほうが有利な可能性があります。

経費の考え方は「業務に必要か」「説明できるか」が軸です

副業の必要経費は、基本的に「その収入を得るために必要だった支出」と整理されます。
専門家は、経費計上は金額の大小よりも、合理性と証拠の整備が重要だと指摘しています。

按分が必要になりやすい支出

副業と私生活が混ざりやすい支出は、全額を経費にするのではなく、合理的な割合で按分するのが一般的です。

  • スマホ代、インターネット回線費
  • 自宅家賃、電気代(在宅ワークの場合)
  • 自家用車のガソリン代(移動がある業務の場合)

按分割合は、利用時間、利用日数、業務スペース面積など、説明しやすい基準を作ることが望ましいです。
「後から説明できる基準」を先に決めて記録すると、申告時の迷いが減ります。

「事業所得か雑所得か」は実態で判断されます

副業の所得区分は、税額や帳簿の要否に影響します。
ただし、事業所得に該当するかは一律の線引きが難しく、継続性、営利性、独立性、帳簿の整備状況など、複合的に見られると考えられます。

判断に迷う場合は、国税庁の案内や、税務署・税理士さんへの相談を併用するのが現実的です。
特に、青色申告を検討する方は、早めに整理しておくと手続きの遅れを避けやすくなります。

よくある副業パターン別の作成例を確認すると迷いが減ります

例1:本業は会社員、週末だけアルバイト(給与)をしている鈴木さん

鈴木さんは本業で年末調整済みで、週末に飲食店でアルバイトをして給与を受け取っています。
この場合、副業も給与所得ですので、作成の中心は次のとおりです。

  • 確定申告書B
  • 本業と副業、両方の源泉徴収票の内容を入力

収支内訳書や青色申告決算書は通常不要です。
一方で、アルバイト先が年末調整をしていない場合や、源泉徴収税額がある場合など、申告により精算が行われます。

例2:本業は会社員、業務委託で動画編集(白色申告想定)の高橋さん

高橋さんは業務委託で報酬を得ており、編集ソフト代や素材購入費、通信費などの支出があります。
青色申告の承認申請は行っていないため、白色申告として進めるケースを想定します。

  • 確定申告書B(給与と副業所得を合算)
  • 収支内訳書(副業の収入・経費を集計)
  • 領収書、カード明細、請求書、入金履歴などの根拠資料

特に、通信費や自宅作業の費用は按分が必要になる可能性があります。
高橋さんのように在宅中心の方は、按分基準(作業時間、作業日数等)をメモに残すと説明しやすいと思われます。

例3:本業は会社員、フリマアプリ販売(雑所得の可能性)の伊藤さん

伊藤さんはフリマアプリで継続的に販売していますが、事業としての体制はまだ整っておらず、まずは雑所得として整理する可能性があるとします。
この場合は、申告書Bの雑所得欄に「収入−必要経費」を入力します。

  • 確定申告書B
  • 雑所得の計算表(販売収入、仕入、送料、手数料等を整理)
  • アプリの取引履歴、振込履歴、発送伝票控え等

フリマアプリは手数料や送料が発生しやすいため、取引履歴から年計を作る作業が重要です。
月ごとに集計しておくと、申告期にまとめて作業する負担が下がると考えられます。

例4:青色申告を選び、電子申告も行う予定の中村さん

中村さんは副業の売上が拡大し、青色申告特別控除の適用も視野に入れています。
この場合、次が基本になります。

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 複式簿記等の帳簿整備、電子申告(e-Tax)

青色申告はメリットがある一方で、帳簿と要件が伴います。
中村さんのように制度を活用したい方は、会計ソフトや国税庁の作成コーナーを利用して、入力を標準化する方法が有効と思われます。

e-Taxと作成コーナーを使うと「どの申告書を作るか」で迷いにくくなります

国税庁「確定申告書等作成コーナー」は分岐を誘導してくれます

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は、質問に沿って入力していくことで、必要な様式や記載箇所が自動的に整理されます。
そのため、「確定申告書AかBか」といった様式選択で悩む時間が減る傾向があります。
副業がある給与所得者の多くは、結果として確定申告書Bで作成することになります。

「手書きで完成形を想像してから作る」より「作成コーナーに入力しながら必要書類を確定する」ほうが、実務上はスムーズになりやすいです。

スマホ申告は副業(雑所得等)と相性が良いとされています

近年はスマホだけで申告を完結させる導線が整備されており、国税庁もスマホ申告の案内を公表しています。
雑所得の副業や、給与+副業程度であれば、スマホで入力を進められる可能性があります。

紙提出も可能ですが「本人確認書類の扱い」を確認します

紙で提出する場合も、作成コーナーで作った申告書を印刷して郵送・持参できます。
その際は、本人確認書類の写しの要否など、提出方法ごとのルールを事前に確認することが望ましいです。

確定申告 副業 作成する申告書を最短で決めるためのチェックリスト

ここまでの内容を、判断手順として短く整理します。
「副業は何所得か」→「追加で作る書類は何か」の順に確認すると迷いにくいです。

ステップ1:副業の受け取り方を確認します

  • 勤務先から給料として受け取るなら、給与所得の可能性が高いです
  • 業務委託や販売などで、売上と経費があるなら、事業所得または雑所得の可能性があります

ステップ2:作成する申告書を確定させます

  • 基本は確定申告書Bです
  • 副業が給与のみなら、追加書類は原則不要です
  • 副業が事業所得(白色)なら、収支内訳書を作成します
  • 副業が事業所得(青色)なら、青色申告決算書を作成します
  • 副業が雑所得なら、計算表で整理して申告書Bへ入力します

ステップ3:資料を集め、入力を始めます

  • 源泉徴収票、控除証明書、入金履歴、領収書を揃えます
  • 国税庁の作成コーナーで入力し、数字の整合性を確認します
  • 経費の按分は「基準」と「記録」を残します

まとめ:副業の申告書は「確定申告書B+副業の種類別書類」で整理されます

副業がある場合に作成する申告書は、原則として確定申告書Bが中心です。
そのうえで、副業が給与所得なら源泉徴収票の合算入力が主になり、事業所得なら白色は収支内訳書、青色は青色申告決算書を追加で作成します。
雑所得の場合は、計算表で「収入−経費」を整理して申告書Bへ入力する流れになります。

また、一般に知られる「20万円基準」は収入ではなく所得で判定されます。
ただし、住民税の申告や控除適用の有無などで対応が変わる可能性があるため、最終的には国税庁の案内や専門家への確認が安全と考えられます。

不安がある方ほど、先に「副業の棚卸し」から始めるのが現実的です

確定申告は、最初から完璧に理解して進めるより、必要な情報を揃えながら精度を上げる進め方が向いています。
まずは、副業が「給与」なのか「売上型」なのかを確認し、1年分の入金と経費の資料を集めるところから始めるとよいです。

そのうえで、国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力してみると、「自分が作成する申告書」が具体的に見えてきます。
もし途中で、事業所得か雑所得か、経費按分の妥当性など判断が難しい点が出てきた場合は、税務署や税理士さんへ相談することで、結論に近づきやすいと思われます。